朗読劇「私の頭の中の消しゴム」


今年で十回目を迎える、朗読劇「私の頭の中の消しゴム」

この作品は私が読売テレビで働いていたときに、オリジナルで
制作したドラマ「Pure Soul」が元になっています。

高村光太郎氏の「山麓の二人」という詩に出会い。
「この妻をとりもどすすべが今は世に無い」
なんて悲しくも愛に溢れた言葉たちなんだろう、とストーリーが
沸き起こってきたのを今でも思い出します。

連続ドラマとして生まれ、韓国映画となり、今またいろんな国からリメイクなどの
オファーを受けているこの作品ですが、朗読劇としても今年で十回目の
公演となり、超ロングラン公演となっています。

朗読劇ってつまらなさそう、と思っている人!
騙されたと思って観てください!

どのペアもおすすめです。若いペアは若いなりに。妙齢は妙齢なりに。
それぞれの持ち味をいかした舞台になります。
ただ、もし今回一ペアだけ選べと言われたら、アラフィフで
20代カップルを演じる、別所哲也さん&紫吹淳さんペアかもしれません。

他の出演キャスト数人から「一列目で観ていいですか?」と冗談とも本気とも
つかないお願いを頂いている、レジェンドペア。
10年続けたスタッフが「神回」と呼んだお二人の公演です。

この作品は私のライフワークです。
人は優しくなりたいし、優しくされたい。愛されたいし、愛したい。

そんなことを思いながら作ったラブストーリーです。ぜひ、劇場にお越しください。
(すでに完売公演が多いので、チケットお買い求めはお急ぎください!!!)

山麓の二人 高村光太郎

二つに裂けて傾く磐梯山の裏山は
険しく八月の頭上の空に目をみはり
裾野とほく靡いて波うち
芒ぼうぼうと人をうづめる
半ば狂へる妻は草を藉いて坐し
わたくしの手に重くもたれて
泣きやまぬ童女のやうに慟哭する
――わたしもうぢき駄目になる
意識を襲ふ宿命の鬼にさらはれて
のがれる途無き魂との別離
その不可抗の予感
――わたしもうぢき駄目になる
涙にぬれた手に山風が冷たく触れる
わたくしは黙つて妻の姿に見入る
意識の境から最後にふり返つて
わたくしに縋る
この妻をとりもどすすべが今は世に無い
わたくしの心はこの時二つに裂けて脱落し
闃として二人をつつむこの天地と一つになつた。


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